久遠の絆 再臨詔 三章現代「現人神として」

久遠の絆 再臨詔 三章現代「現人神として」


三章現代~幕末はこちら


やっと終わりです。

久遠の絆 再臨詔

気が付くと、万葉が目の前にいた。俺はおもむろに彼女を抱き締めた。幕末の時代にトリップしていたことを話し、神剣が折れてしまっていることを伝えたが、神剣は死んではおらず、俺が呼べばきっと答えてくれると万葉は言っていた。

久遠の絆 再臨詔

自由時間に万葉とイチャついていたら、男と手をつないで人気のない植え込みへと消えて行く栞を見かけた。相手の男は杵築のようだ。杵築を呼び止めると、奴は語り出した。道綱は、日本中から集めた怨念を糧に太祖復活を目論んでいる。その怨念は憑坐となった鷹久の母・樟葉の体に蓄えられていった。そして、それはいつ溢れ出してもおかしくない状況にあり、俺と道綱が戦えば、界の狭間の壁を打ち壊すことになるだろうと。杵築は栞を安全な場所に連れていき、誰もいなくなった地上で二人で一からやり直すと言っていた。

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決着を付けるべく、俺は杵築と相対した。まずは右のローキックだ。そして、杵築のジャブを受けると、すかさず奴の顔面を殴る。今度は杵築から仕掛けてきた。右ストレートと右のミドルキックだ。攻撃を見切った俺は、杵築の胸に肘を叩き込んだ。前世を経験する度に俺は強くなっていた。まともにやっても敵わないと悟った杵築は、何やら呪文を唱え始める。杵築は土蜘蛛の力を解放した。俺も印を結んで対抗する。そして互いの力がぶつかろうとした時
「あぶないッ、たけちゃんッ!」
二人の間に栞が飛び込んできた。杵築の黒い気に満ちた突きが栞に襲いかかる。どうにか直撃は逃れたものの、拳がかすっただけで体がバラバラになりそうな衝撃を受ける。当然、栞が耐えられるものではなかった。

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教師たちが駆けつけると、杵築は捨て台詞を吐いて姿を消した。万葉の話では、栞は杵築の力で生気を根こそぎ持っていかれてしまい、早く補給しないと危険だという。そして、それができるのは土蜘蛛の巫女だけだろうと。
「私にやらせてみて頂戴」
沙夜先生だった。先生は栞の傷跡に手を当てて、呪文のような言葉を紡ぎ始めた。栞が息を吹き返した。沙夜先生は、土蜘蛛の血を引く泰子様と観樹の生まれ変わりだったのだ。そして、栞は桐子の生まれ変わり。

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修学旅行一日目が終わろうとしていた。俺の部屋には、汰一目当ての女子と、俺に会いに来た万葉目当ての男子でごったがえしていた。カードゲームで遊んでいたが、どうにも気が進まずに部屋を出た。一人でこれからのことを考えていると、沙夜先生が現れた。昔の力が戻ったという先生だが、その代償として過去のように誰かの血を欲してしまうかもしれないと怯えていた。俺は、一緒に戦おうと先生を励ます。道綱を倒し、この輪廻の鎖を引きちぎるのだと。

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翌日、奈良公園で待望の自由行動となったが、沙夜先生からレポート提出のお達しが出る。ブーイングの中、芦屋先生が沙夜先生を擁護。俺に向かって、大仏殿の大仏が建立された年を質問してニヤついていた。俺は鷹久の記憶を頼りに、749年と正解を導き出した。当ての外れた芦屋先生だったが、その後の講釈は中々聞き応えのあるものであった。いつもは芦屋先生を煙たがっている男子からも、賞賛の声が上がった。

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公園を散策していたら、班からはぐれて一人で歩いている栞を発見した。どうも様子がおかしい。桐子の人格が混ざっているような言動をしている。そして、遂には倒れてしまった。恐らくは過去の記憶が覚醒しているのであろう。みんなで手分けして先生を探しに行く。俺は万葉を集合場所に残し、大仏殿の方へと行ってみた。大仏殿には誰もいなかったが、ここで栞が目を覚ます。過去の記憶を取り戻した栞は、突然の愛の告白をし、人目もはばからずに泣きながら胸に飛び込んできた。

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そこへ現れた沙夜先生に栞を預けて、俺は万葉の元へと向かった。しかし、そこに万葉の姿はなかった。みんなで探しまわったが、何者かに誘拐された形跡だけが見つかった。汰一は、万葉を一人にした俺を責めた。そして、警察の取り調べが終わると、俺を殴って出かけていった。行き先が石舞台古墳であることを突き止めた俺は、汰一の後を追ったのだが、出かけようとするところを栞に見つかり、栞は強引に付いてきてしまったのでした。そして、古墳には万葉が鎖で繋がれていました。駆け寄ろうとする俺の前を、杵築が遮った。

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汰一はすでに杵築に倒されていた。杵築の話では、汰一は晴明の生まれ変わりだという。あの晴明が光栄に破れるなど信じがたい。しかも、あの大騎も晴明の生まれ変わりだったと言うのである。戦いの火蓋が切られた。まずは杵築のパンチを右に避ける。万葉を人質に取られて思うように戦えない状況。杵築に挑発されるが、あくまでも避ける。しかし、このままではジリ貧である。土蜘蛛の力を解放する杵築。俺はパンチを右に避けるが、杵築には動きがバレバレであった。黒い気が突き刺さり、俺は倒れたまま動けなくなってしまった。そして、どこからともなく日本刀を持ち出すと、俺に向かってそれを振り下ろした。

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「やめてッ!」
栞が俺達の間に割って入った。だが、杵築は栞の言う事には耳を貸そうとしない。そして、万葉のそばに置いておいた百足の式に、逃げる栞を追いかけるよう命じた。チャンスが到来した。一撃目は右ニ撃目は左上だッ。俺は杵築の攻撃を完全に見切り、刀を叩き折った。そして、ありったけの力を込めて、気のこもった拳を叩きつけてやった。俺は万葉を助けだしたが、戦いは終わってはいなかった。折れた刀を持った杵築が襲いかかってきた。不意を突かれた俺は、咄嗟に地面に落ちていた何かを掴み、右手を突き出す。それは折れた刀の切っ先であった。

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俺は現世でも人を殺めてしまった。万葉は仕方のないことだから気にするなと言っていたが、栞は俺を責めた。光栄の長い誤解を解いて、殺すことなく助けてあげることができたはずだと。万葉に話があると言われ、二人だけで古墳の中に入る。奥の部屋の壁には、剣を振りかざす男性と、二人の女性の姿が描かれていた。男は俺であり、片方の女性は万葉だという。そこで、万葉から守護者の位を継いで欲しいと真剣な顔でお願いされた。英霊達の審判を受けて、地上の神として登極しろと。それが最良の選択であることを悟った俺は、腹をくくった。万葉が石の窪みに種のようなものと液体を流し込み、なにやら呪文を唱えると、炎の中から英霊が現れた。そして、神としての自覚が足りない俺に、神としてこの世を統べる詔を発しろと難題を与えてきた。しかし、俺にはそんなものは分からなかった。
……わかりません。いくら考えても、俺がどの様に神として、みんなを統べていっていいのかわかりません
俺は正直に答えた。英霊は俺を認めずに姿を消す。

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あの壁画の右の女の人は誰なんだ?
俺は古墳から出る前に聞いてみた。あれは、薙という名の二人の娘だそうだ。外に出ると、栞と汰一はおろか、杵築の死体までもが消えていた。そこへ心配した沙夜先生がかけつけてきた。
「鷹久……何をしているのです鷹久。母との約束を忘れたのですか?」
鷹久の母が現れた。道綱が、俺を殺して晴明を太祖様の依童にしようと企んでいるらしい。そして、愛宕山へ急げと告げて消えた。

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翌日、俺と万葉と沙夜先生は、道綱の太祖復活の呪詛を阻止すべく、愛宕山へと向かった。行く手を遮る怪我を、久々の五方星で打ち倒した。

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神社の奥社にある六道宮へと潜入し、奥の祭壇まで辿り着くと、そこには龍の彫り物があしらわれた石棺があった。この中に母上がいる。姿を現した母上は、一族の将来のために戻ってきてくれたことを喜んでいたが、俺達の目的はそうではなかった。万葉が真意を伝えると、母上は万葉を浮かれ女と罵倒した。違和感を感じた俺達は、ひとまず母上の言う通りにする。そして、母上が呼び出した無数の黒い蛇が俺の体内に入ってきた。俺自身が消えようとした時、周りに強い力の壁が張り巡らされるのを感じたる。
「万葉ッ!今だッ!ヤツの根を断てッ!」
激烈な獣の悲鳴に混じり、消え行く微かな女性の悲鳴が聞こえた。それが意味することを悟り、俺の胸は痛むのでした。

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現世に体の一部を送り込んでいた太祖は、魔界との間で体を二分され、苦しみのたうちまわっていた。しかし、俺の体内から奪った力を使って、太祖は魔界との回廊を繋げてしまう。力をほとんど奪われた俺は倒れてしまった。

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そこへ意外な人物が姿を現した。芦屋先生でした。
なぜお前が…
その側には、正気を失った栞と、三巳を飲まされた汰一の姿も。芦屋先生が道綱だったのだ。汰一は命じられるままに刀を振り上げて襲ってきた。まずは右に転がって避ける。そして、汰一の懐に飛び込む。うまく組み伏せたが、それは身代わりの式であった。背後からの一太刀をどうにか防いだ俺は、刀を降ろして汰一と話す。だが、説得は通じず、俺は汰一の一撃で、体を床に叩きつけられる。一方で、汰一も激しく苦しんでいた。三巳を飲まされた者は、己の欲望に逆らえば死んでしまう。汰一は戦っていたのだ。汰一がトドメを刺そうと襲いかかったが、その白刃はそこへ割って入る万葉に浴びせられた。その光景を見た俺は、思わず力を使ってしまった。祭壇まで吹き飛ばされた汰一は気を失った。汰一が寸前で刀先を引いたため、万葉は大事には至らなかった。

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いよいよ芦屋幹久、いや道綱との決戦だ。まずは自分が汰一の使っていた刀で攻撃するが、それを素手で受けられてしまう。ならばと、俺がもう一度攻撃すると見せかけて、左右から万葉と沙夜先生が攻撃。沙夜先生の紅爪で脇をえぐられた幹久だったが、何もなかったかのような素振りを見せ、沙夜先生を殴り飛ばしてしまった。ここで幹久は自分の正体を明かす。藤原道綱は朝廷を欺くための仮の姿であり、その正体は大獄丸だった。かつてこの国に癒えぬ傷跡を刻み込んだ恐怖の鬼の名前である。そして、圧倒的な力の前になすすべなく倒された俺は、魔界への穴へと引きずられていった。

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太祖復活の儀式が始まった。万葉と沙夜先生は、俺を信じて幹久に言われるまま呪文を唱えた。俺の中に再び太祖が入ってきた。
「よく来た。ここより吾と汝は弐にして壱。壱にして不可分なり。吾は汝の物、汝は吾の物。いざ、汝が吾の手を取り給え。」
太祖が手を差し伸べてきたが、欲望と葛藤する俺は手を取らない。俺は全能の力よりも、万葉というたった一人の女性を選んだのだ。
「我らが力を貸そう」
太祖との戦いを決意した俺を英霊が後継者として認めた。

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気が付くと、俺の体は元に戻っていた。俺は悟られぬように五方星の印を斬り、呪文を唱えている幹久にみまった。そして、千年越しの決着をつけるべく相対したのであった。

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追いつめられた幹久は、栞を奈落に突き落とそうとした。それを阻止したのは汰一だった。汰一は幹久を羽交い絞めにし、そのまま奈落へと飛び込んだ。が、間一髪汰一を助けだすことには成功した。

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今度は穴の中から杵築が這い上がってきた。それは杵築の死体に取り憑いた太祖の怨念の固まり。その力は圧倒的であった。「この世に於けるお前の力を手に入れよ」と皇命に言われるが、どうしたらいいか分からない。そして、杵築の強烈な一撃で腹を破られた俺は、大量の血を吹き出していた。

久遠の絆 再臨詔

<<うふ。うふふふ。ねぇ、パパ。パパは私のこと好き?>>
薄れる意識の中でそんな会話が聞こえてきた。
<<ねぇパパ。パパは今でも私の事を好きッ?>>
そう問いかけられた俺は
ああ、好きだよ
と答える。そして「」という娘の名前を叫んだ。すると、目の前に突然天野先輩が現れ、杵築の一撃を片手で受け止めた。

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母である万葉が祝詞を唱えると、天野先輩は神剣となった。先輩こそ俺達の娘である天叢雲だったのである。

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もはや、太祖すら俺の敵ではなかった。勝ち目のない事を悟った太祖は、万葉、栞、沙夜の3人を道連れにしようとした。いつの日か再び蘇るための生贄として。三人全員を助けることは絶望的だった。せめて一人だけでもと、俺は万葉を助けることに決めた。しかし、その行動は太祖に見透かされていた。

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万葉の機転で、太祖を奈落の底へと追い落とし、栞と沙夜先生は助けることができたが、万葉は崩れる床の縁にかろうじて掴まっている状態だった。そして地上と魔界をつなげる力が失われ、穴はその口を閉ざそうとしていた。急いで引き上げようとしたが、途中で穴は塞がってしまう。万葉が絶叫した。魔界の穴を開ける事は神の規に背く行為らしいが、万葉のいない世界など俺には意味のないものだった。彼女を絶対に守るという約束を今度こそ果たさなければならないのだ。俺は薙に命じてこの忌々しい入口を破壊させた。

久遠の絆 再臨詔

どうにか万葉を救い出すことはできたが、瀕死の状態であった。
「…どこ?武。どこぉ…ッ?」
「ここにいるッ!俺はここにいるぞ万葉!!」
「武……、キス……し…て」
「うん……、うんッ!」
「武………… す き 」
そして、万葉の体が光り出し、そのまま消えてしまった。彼女は天人としての生を終え黄泉へと旅立った。闇に侵された彼女魂は、その穢れが拭われるまで冥府に幽閉され、二度と会うことはないだろうと皇命が語る。

久遠の絆 再臨詔

俺は万葉を助ける手立てが見つからずに途方に暮れていた。
”私が力を貸しましょう”
そんな俺に母上が手を差し伸べる。母上が黄泉に下る時に冥界への扉は開く。神となった俺ならば、それを通って冥界へ赴くこともできるという。しかし、現世に戻るには、俺が万葉の穢れを払わなければならない。できなければ、二度と戻ることはできないだろうと。だが、俺の決意は固かった。

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”吾が幽界に断りもなく入り込みしは誰ぞ”
暗闇を進んでいくと、全身に紫の稲妻を纏った女性が現れた。その妖気は、神となった俺をも遥かに凌ぐ力を持っている。俺は万葉を返して欲しいと頼むが、女性はその要求を突っぱねる。しかし、俺の神としての資質を認めると、俺の万葉への想いが本物ならばという条件を出した。

久遠の絆 再臨詔

目の前に3人の万葉が現れた。この中から本物の一人を選べというのだ。間違えれば、俺はその女性に食われてしまう。まずは左の女性に質問する
万葉、迎えに来たよ。一緒に帰ろう
するとその女性は
「心配しないで。たとえどこにいようとも、私はいつでもあなたと一緒よ……」
と答えた。次に真ん中の女性に質問する
万葉、迎えに来たよ。一緒に帰ろう
するとその女性は
「……ばかなひと。いつもこんな無茶なことばかりして……でも……うれしい………」
と答えた。最後に右の女性に質問する
万葉、迎えに来たよ。一緒に帰ろう
するとその女性は
「本当に…私でいいの?栞ちゃんや沙夜先生はどうするの?」
と答えた。俺は、骨と皮だけの醜い姿の右の女性を選んだ。

久遠の絆 再臨詔

地上に近づくと、彼女が苦しみ出した。俺は言われた通りに口づけしようと振り返る。そこにはあの美しかった万葉の姿は見る影もなかったが、俺はありったけの想いを込めて「キスをする

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「武さん……」
万葉は元の姿に戻った。涙が溢れて止まらなかった。

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気が付くと、二人は石舞台の上にいた。
「ありがとう…武さん。私を見捨てないでくれて。ありがとう、私を守りぬいてくれてッ。ありがとう…、私を愛してくれて……」
外は雪が舞っていた。これからどうするのかと聞かれた俺は、天に向かって新たなる神の一柱として勅命を発した。それは、人間の神からの自立を宣言する内容でした。そして、人間が持つには過ぎた力だとして、薙を天に返した。そして、今度生まれ変わる時は、俺達の本当の子供として生まれてくるようにと言った。

久遠の絆 再臨詔

思わぬ事態に慌てる皇命をよそに、俺と万葉はお互いの目を見つめていた。その中にはこの世で一番大切なものがあった。
<<我が事なれり>>
そして突然響いた、圧倒的な神気の声。その声の意味と、突然の主の出現に慌てふためく皇命の様子に、俺達は花が咲くように微笑んだのだった。

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(おしまい)
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