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久遠の絆 再臨詔 二章元禄「流転する前世」

久遠の絆 再臨詔 二章元禄「流転する前世」


二章現代~元禄はこちら



久遠の絆 再臨詔

菊乃どのと、狛山神社へ今度の奉納試合のお礼納めに行く。神社の境内で神官の春狛さんに会ったが、春狛さんは私のことを見知っているようだ。私達の事を恋人同士なのかと聞いてくるので
そ、そんな事は……
と慌てて否定しようとしたが、菊乃どのが寂しそうな顔をしていたので途中で言葉を切った。

久遠の絆 再臨詔

雷が鳴り出したので、春狛さんから傘をお借りして引き上げる。途中で雨が降り出してきた。そこへ劉也が傘もささずにやって来た。春狛さんに何やら用があるらしい。菊乃どのとのことを詮索されたので、ただのお使いだと劉也に言い訳をしたが、今度は菊乃どのがふてくされてしまう。困っていたところに春狛さんが登場。私はもっけの幸いと、その場から逃げるように立ち去った。

久遠の絆 再臨詔

夜になり、劉也と見回りに出る。少女を襲う化け物ということで綾さんのことがふと心配になったので、吉原に行ってみることを提案。劉也がそれを断るはずもなかった。私は野暮用があると言って劉也と別れた後、夕姫楼へと向かった。店では、綾さんが今日から顔見世として売り込まれているところでした。そこに他の客が綾さんを買おうとしている会話が聞こえてくる。綾も助けを求めるような目で私を見ていた。私は綾さんを「買う」事にした。座敷で慣れない酒をしこたま飲んだ私は、すっかり酔いつぶれてしまった。気が付くと、私は綾さんに膝枕されながら眠っていた。そこは寝床でした。

久遠の絆 再臨詔

綾さんが夢の話を始めた。そこで彼女は私に「蛍」と呼ばれ、彼女は私を「鷹久」と呼んでいるそうだ。蛍、晴明兄様、桐子、話を聞いていた私の脳裏にも、見知らぬ人達の顔が浮かんできた。そこに隅田川の花火の音が聞こえてきた。二人で窓から花火を眺めていたら、すぐに消えてしまうから花火は嫌いだと綾さんがつぶやいた。
「何故、幸せな時間は、すぐに過ぎ去ってしまうのでしょうね?」
彼女は元々は武家の娘だったが、彼女の周りの優しい人達は皆死んでしまい、一人になってしまったのだという。私は肩を震わせて泣いている彼女を抱き締めた。そして、灯火を落とした暗い部屋では、衣擦れの音と、二人の吐息だけが静かに響いていました。

久遠の絆 再臨詔

余韻に浸っているところに、捕り物の笛の音が鳴り響いた。どうやらあの妖虎が出たらしい。笛の音はこちらに近づいていた。窓の外を見ると、妖虎が屋根の上からこちらを見ていた。
「見つけた……見つけたぞ……貴様が鷹久だったのかッ!!」
私に対して異常なまでの怨念を抱いているようだった。そこであの勾玉が光り出す。
「そ、それは……ヤサカノマガタマ」
妖虎は怯んだ。そして
「お前の大切なもの、全てを消し去ってくれるわ!」
と捨て台詞を吐いて逃げていった。そして
「あれは、私の家族を、食い殺した獣……」
綾はそう言うなり、気を失ってしまいました。

久遠の絆 再臨詔

翌日、私は綾を身受けするために必要な40両もの大金を工面する方法を考えていた。そして、絵を売ればいいという結論に行き着いた。だが、家に帰ると私の絵の道具は粉々に散らばっていた。隠しておいたのを母上に見つかってしまったようだ。喜兵衛さんに相談するも、絵描きにとって命より大切な道具を粗末にしたことを咎められてしまった。

久遠の絆 再臨詔

悲嘆に暮れていたら、神前試合の優勝者に賞金40両が与えられるという話が耳に入った。残された道はこれしかなかった。午後の選抜試合で優勝し、劉也とともに神前試合に出場することが決まる。
「猫かぶってやがったな?この野郎」
そう劉也が声をかけてきた。かなり面白くない様子だった。帰宅しようとすると、道場の奥から男女の言い争う声が聞こえてきた。劉也と菊乃どのであった。私が吉原の女のために賞金目当てで試合に出ようとしていることを言い聞かせ、菊乃どのを乱暴に抱きしめようとしていた。私は二人の前に飛び出した。取っ組み合いの喧嘩となり
「お前には負けないッ!」
そう言い捨てて劉也は去って行った。

久遠の絆 再臨詔

その夜、私は綾に神前試合のことを報告に行った。綾は暗い表情をしていた。昨晩客となった男が綾を気に入って落籍したがっているという話でした。私以外の男にはもう抱かれたくないと涙する彼女に、私は金は何とかするから待っていて欲しいと約束した。

久遠の絆 再臨詔

神前試合当日。石洲斎先生から、試合の勝者には道場を継いでもらうという発表があった。つまり、それは菊乃どのと結婚するという話である。私は絶句した。しかしながら、負けることは許されなかった。最終的に、試合は私と劉也の一騎打ちとなった。決戦を前にして菊乃どのが私を励ましてくれたが、それを見ていた劉也からは殺気に満ちた視線を感じた。そこに春狛殿が現れた。菊乃どのが私を応援しているから、自分は藤井様を応援すると言って、劉也と一緒にその場から消えた。

久遠の絆 再臨詔

いよいよ決戦となったが、劉也の様子がおかしかった。それは私が知っている劉也の剣ではなかった。人間離れした速度と威力。
「し、真之介……ああああ、しねシネァ~ッ!!」
その表情からは正気が失せている。劉也の振り下ろした刀を受け止めたが、刀を折られてしまった。折れた刀は客席に飛んでいった。その先には春狛殿がいたが、春狛殿はそれを手ではたき落とす。鋼が打ち合うような音がした。その腕には獣のような剛毛が生えている。私はあの妖虎のことを思い出していた。

久遠の絆 再臨詔

春狛殿に気を取られた一瞬の隙を突いて、劉也が剣を振りかざした。やられたと思ったその刹那。
「止めろっ!藤井っ!」
石洲斎先生が止めに入った。しかし、劉也には先生と私の区別もついていないようだった。先生は頭を割られ即死だった。劉也は客席に飛び込んで誰彼かまわずに斬りかかっていた。俺は劉也に自分の居場所を教え、折れた刀を構えた。勝負は一瞬だった。私は劉也の水月を突いて、その暴走を止めた。

久遠の絆 再臨詔

倒れてもがき苦しんでいる劉也に菊乃どのが手を触れた瞬間、劉也は何事もなかったかのように立ち上がった。状況が飲み込めずにポカンとしていた劉也だったが、口から赤いものを吐き出すと再び苦しみだした。
「……ハジケロ」
その時、微かな声が聞こえたかと思うと、劉也の体が膨らみだし、そのまま弾け飛んだ。声の主は春狛でした。私は菊乃どのを助けようと彼女に覆い被さった。すると、勾玉が再び赤く光り出し、二人を助けてくれました。春狛はチッと舌打ちして、その場から立ち去っていった。

久遠の絆 再臨詔

石洲斎先生の葬儀が終わった深夜の道場。嘆き悲しむ菊乃どのをなだめているところに不穏な気配を感じた。奴が来たようだ。菊乃どのにじっとしているよう言い聞かせて道場の外へ出たのだが、そこに菊乃どのの悲鳴が聞こえた。慌てて道場の中に戻ったものの、菊乃どのは妖虎に連れ去られてしまいました。奴は私から大事な物を全て奪うつもりだ。吉原にいる綾の身が案じられる。

久遠の絆 再臨詔

吉原に急行したが、すでに妖虎に襲われ赤々と炎上していた。私は一目散に夕姫楼に駆けつけた。そして、炎上する建物の中で綾を見つけ出した。そして、そのまま吉原の外へと綾を連れ出したのでした。必死で走った先に辿り着いたのは浄閑寺でした。雨が降り出していたので、ここで雨宿りをすることにした。

久遠の絆 再臨詔

薄暗い御堂の中で抱きしめ合う二人。私たちは前世の事をはっきりと思い出していた。そして、何故あの妖虎が執拗に私を付け狙うのかも。

久遠の絆 再臨詔

と、そこで御堂の扉が開いた。菊乃どのを抱き抱えた春狛だった。春狛は彼女に三巳虫を飲ませた。正気を失った菊乃どのが、刀を振りかざして襲いかかってくる。
「いいんです……菊乃には解ってますから……ねぇ真之介様……あの女が、あの女がいけないのね……お兄様……ううん、いいの、桐子にはわかってるから……お兄様……だぁいすき、鷹久お兄様……一番好き……だから……ねぇ、死んで……死んでください、そして、菊乃のものになって……」
そんなことを、うわ言のように呟きながら刀を振り回す菊乃どの。彼女の前世は桐子でした。次第に追い詰められた私は、菊乃どのと戦う決意をした。そして、折れた刀を構える。だが、綾はそれを制して前に出る。神剣のみ使いである彼女には、菊乃どのを殺さずに魔を滅ぼす力があるというので、私は菊乃どのを彼女に任せ、自分は鵺に変身した春狛と相対することにした。

久遠の絆 再臨詔

だが、折れた刀はあっさりとはじき飛ばされてしまう。私は鵺の突進を必死に交わした。すると、勢い余って鵺が不動明王像に激突し、像は粉々に砕け散った。すると不動明王が持っていた剣が目の前に落ちてきた。私はそれを手に取って、鵺に立ち向かう。剣は鵺の体に突き刺さった。
「ぐごごご……天叢雲……こんな所にあったのか……」
この剣こそが、あの神剣だったのである。

久遠の絆 再臨詔

外に飛び出した鵺にトドメを刺そうと剣を構えたが、憎しみに満ちた私の心を剣が拒絶した。激しい電撃を放って私の手を拒む剣に向かい
「我が意に下れ剣よ。我に魔を討たせ給へ……」
と捻じると、脳裏に少女の声が聞こえてきた。
「心静かに鋭くし……我が主……遠き血の盟約で結ばれし、我が主……我にあなたの力を……力を注ぐの……」
私は言われた通りに心を鎮めて剣を構えた。すると剣がまばゆい白銀色の光を放った。勝負は一撃であった。鵺は春狛に姿を戻す。そして、私は春駒にトドメを刺したのでした。

久遠の絆 再臨詔

その時、御堂の中から耳をつんざく女性の悲鳴が聞こえてきた。綾は体内にいた三巳虫を殺し、菊乃どのを救った。しかし、力を使い果たした綾はその場に崩れ落ちてしまう。私は咄嗟に彼女を抱き止めたが、背中に回した手から、血が流れ出しているのを感じるのだった。
「……ご…めんなさい……やっと……逢え…た……に………また……残して逝くの……ゆる…して………」
そして綾の首が力無く後ろに垂れる。綾を抱きかかえた私は、雨の中、遠くで燃えている吉原をいつまでも見つめ続けていた。

久遠の絆 再臨詔

「武さん、大丈夫?」
気が付くと、目の前には万葉がいた。そして、前世で春狛を倒した時のように心を研ぎ澄まし、結界を破ることに成功したのだった。

久遠の絆 再臨詔

慌てた吉川は、栞を盾にとって、俺に万葉を殺せと命じてきた。周りからは吉川に操られた生徒たちがジリジリと近づいてくる。

久遠の絆 再臨詔

窮地を救ってくれたのは汰一だった。
「みんな、死んじゃえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」
すると、怒りに燃える吉川が、おぞましい異形の者へと姿を変えた。吉川は、まつろわぬ神の荒御魂に魂を売り渡し、土蜘蛛の仲間になってしまっていた。こうなってはもう人間に戻すことは不可能だと、万葉が弱々しく首を振る。

久遠の絆 再臨詔

「まて、吉川。今、その者達を殺す事はまかりならん」
どこからか、低く渋みのある声が響いてきた。どうやら、吉川の言っていた天使様らしい。そして、数匹の大きな黒犬が現れると
「お前の役目は終わったのだ…………」
と言って、吉川の首元に食らい付いた。

久遠の絆 再臨詔

どうにか黒犬達を追い払ったが、吉川はもう青息吐息であった。元の自分を取り戻した吉川は、最期に自分の想いを汰一に告白する。
「ごめんね…こんな私……迷惑だったでしょ……でも…もう……やめるね…………」
と謝る吉川に
「やめることはないよ……ありがとう、吉川」
と汰一が優しく答えてあげた。それを聞いた吉川は大粒の涙をこぼす。そして、自分のことを名前で呼んで欲しいと、汰一に最後のお願いをした。
「……絵理………一緒に、家に帰ろ?」
「………………うんッ……」
そして、吉川は幸せそうな顔のまま息を引き取った。俺は、これまで避けてきた運命との戦いに命を賭して臨む決意を固めていた。そんな俺に、全ての始まりと終わりの場所である愛宕山六道宮の大極殿で待っていると、土蜘蛛の太祖が語りかけてきた。

つづく
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