水夏 ~SUIKA~ 第四章「名無しの少女」

水夏 ~SUIKA~ 第四章「名無しの少女」


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第四章

7月15日

水夏 ~SUIKA~

いよいよ最終章へ。あの銀髪マント少女がヒロインです。この章の主人公である俺、稲葉宏がこの村に来て一週間ちょっとが経った。使用人の子供ということもあって、未だに親戚連中が父親に合わせてくれません。散歩で夜の神社に来た俺は、ここで銀髪マント少女と出逢った。俺にあかんべえをしているその少女に声をかけると、彼女は驚いて尻餅を付いた。手を差し伸べる俺に
「……見えるの?」
と聞いてきます。
「……悪いけど、丸見えだ(パンツが)」

水夏 ~SUIKA~

この少女は、どうやらこの神社を寝ぐらにしているらしく、腹もすかせているということで、俺は自分が寝泊りしている旅館「なると」へと連れて行った。女将さんも、自腹をはたいて少女を旅館に泊めてくれることにしてくれました。ほ~、女将さんにも見えるのか。てか、見えなかったの二章のさやかだけじゃね?

勢いよく御飯をかき込む少女ですが、肉や魚といった類には全く手をつけません。食べ終わると口元に食べかすを残したまま横になる。俺はそれをティッシュで拭いてあげた。少女には名前が無いようです。忘れてしまったと言っていますが、存在的に元々無いのかもしれません。

寝ることになったが、少女は鈴の付いた帽子を、髪の毛と一体化してると言って脱ぎません。お風呂ではちゃんと髪の毛は洗ってきたようですがね。少女が大事に持っている猫の人形について聞いてみると、名前はアルキメデスというらしい。今まで気付きませんでしたが、この猫、手に釜を持ってます。やっぱり死神ですかね?思いっきり喋ってますが、画面の中の俺は、腹話術か、おしゃべり機能の類いだと思ってます。風呂から戻ってきたら、少女が畳の上で大の字に寝ていたので、布団の上に載せてあげました。

7月16日

水夏 ~SUIKA~

怖い夢にうなされながら目覚めた。心配そうに少女が覗き込んでいる。布団を片付けると、少女がいきなり浴衣を脱ぎ出した。慌てて止めたのだが、少女は平然と脱いでしまった。俺はぎゅっと目を瞑った。

朝食に出された鮭の切り身に手をつけない少女に、どうして食べないのか聞いてみると
「生き物は、生きていたんだよ?でも、食べられる時は死んじゃうんだ。たぶん、死にたくないと思っていたよね?」
「栄養にだけは気を付けろよ」とだけしか言えませんでした。

水夏 ~SUIKA~

今日は実家へ行ってみる。何故か付いてくる少女。名前がないと呼びづらいので、「お嬢」と呼ぶことにしました。お嬢は、俺にアルキメデスがただのぬいぐるみではないことを告白します。俺は中々信用しませんでしたが、最終的には信じざるを得なかった。

水夏 ~SUIKA~

実家に到着。妹のちとせの部屋を訪ねる。同じ年頃のお嬢と意気投合するちとせですが、病弱なようです。結局今日も父親との面通りが叶いませんでした。部屋に戻ると、お嬢とちとせが、あやとりをして遊んでいた。お嬢は名残惜しそうでしたが、ちとせの体にも障るので旅館に戻った。

「チーちゃんって、どっか身体を悪くしてるの?」
帰り道にそう聞いてくるお嬢。あの状況なら病気であることは一目瞭然ですが、この子が言うと不吉です。ちとせは心臓を患っているのだが、俺の口振りからして、実際深刻なものみたいですね。そして
「女将さんも……病気?」
まさかの女将さん死亡フラグ。そういえば、第二章で着物を着た年輩女性が車にはねられてたけど、あれって……

水夏 ~SUIKA~

お嬢がフラフラし出して、遂には倒れてしまった。日射病らしい。近くの神社で休ませることに。神社には巫女さんがいた。第一章のヒロイン伊月である。伊月がハンカチを取り出したので、自分でやると言ってハンカチを借りた。井戸でハンカチを濡らして顔を拭ってやる。お嬢が目を覚ましたので、少し休んでから旅館へと帰ることにした。アルキメデスは、俺は外野ではなく内野だとか意味深なことを言ってました。

旅館では、お嬢の記憶を取り戻そうといろいろ質問するが手掛かりはなし。逆にお嬢から、以前どこかで会ったことないか?と質問される。そういえば、七夕の日に妙な奴を見かけて、その時は魔物だと思ったけど、今思うとあれはお嬢だったのかもしれない。そのことをお嬢に伝えたら
「その方が、むしろ良かったかもしれないから……」
と言って拗ねてしまい、それっきり黙り込んでしまいました。

水夏 ~SUIKA~

夜になり散歩に出かける。お嬢は一眠りしてすっかり機嫌が直ってます。
「どわあっ!!」
商店街でいきなり女性の叫び声が聞こえてきた。すると食堂ボンバイエから、その女性が出てきた。え?千夏?と思ったが、この女性は七条華子といって、俺の腹違いの姉でした。贔屓の野球チームが負けて叫んでいたんだとか。ちなみに華子は本来は「はなこ」と読むが、本人は「かこ」と言い張っているみたいです。顔が千夏と瓜二つなんですが、どういうことでしょうか?

どうにもお嬢は華子が苦手な様子。ああいう性格だからインパクトあるけどいい奴だぞ、とフォローを入れるが、そういうのではなく
「もっと、別の……何か」
が苦手なんだと。やはり、千夏と何か関係がありそうです。

7月17日

水夏 ~SUIKA~

今日も悪夢にうなされながら目が覚める。お嬢は朝食に出された納豆を一心不乱に練っている。しかし、せっかく練り上げた納豆に醤油がドバっ。俺の納豆を物欲しげに見つめていたので、「交換してやるよ」と言って交換してあげた。

今日もちとせのところへと向かう。途中お嬢に、何故いつも苦しそうに目覚めるのか聞かれる。俺は、悪夢については今まで誰にもしゃべったことがなかったが、お嬢には話してみようと思った。しかし、そこへ華子が来て邪魔をされる。華子は、稲葉家の次期当主に指名されたそうだが、それが面倒くさいと言っています。

水夏 ~SUIKA~

ちとせの部屋に入ると、そこに病気の父親がいた。どうやら、親戚連中に誰も来ていないと嘘をつかれていたようで、業を煮やして自分から会いに来たようだ。三人の子供を並べ、十分近くもじっくりと鑑賞していた。三人の姿を目に焼き付けるために。
「そろそろ……戻るか」
と言って、汗びっしょりになりながら部屋を出た父親だったが、廊下でパッタリと倒れてしまった。

父親の容態がひとまず安定した後、ちとせの部屋に戻る。もうすっかり夜になっていた。その間、お嬢は漫画をずっと読んでいたみたいです。漫画を借りて帰宅することにした。
「読み終わったら、感想聞かせてね。きっとだよ?」
と約束するちとせだが、この約束がキーになってきそうな気もしますね。帰り道、華子がいつもどこで寝泊りしているのか聞いてみるが、色々とあるようだ。そのおかげで、最近とびきりおかしな出来事にも出遭えた言っていたが、具体的なことは教えてくれませんでした。

野球が始まる時間だと慌てる華子に、「どうせ負けるだろう」と軽口を叩いたら、ぶん殴られてしまった。華子が去った後、お嬢がそれをひどく心配しているので、仲がいいからぶつんだよ、と説明したら、よりによって股間をぶってくるお嬢でした。

旅館に戻り、さっきのことを謝るお嬢。
「でも、もうココはぶたないでくれよ」
と股間を指差して言うと、お嬢はそれをまじまじと凝視している。
「あんまり、じっと見ちゃ駄目」
と注意するが、何故だか分かっていないお嬢。自分が見られたら嫌だろと言っても
「別に、そんなこと無いよ?」
と言ってます。思わずお嬢の股間に視線を持っていくが。メデスに「変質者」と咎められる。更には
「見たいんだったら、見てもいいよ?」
と言われて生唾ゴクリ。ふとお嬢の顔を見ると、やけに上気していたので、自分の額を額につける。少し熱があるようだ。食欲も無いというので、寝かせることにした。結局その日は徹夜で看病することとなった。

7月18日

水夏 ~SUIKA~

今日も悪夢にうなされている。目が覚めると、部屋には煙が充満していた。女将さんが、お嬢のために焼きもろこしを焼いていたのだ。自分の分も焼いてもらって二人でおいしくいただきました。女将さんに、何で部屋の中で焼いているのか聞いてみると、俺がいつも朝うなされているので、お嬢は心配だからそばにいたかったんだとか。ええ子や。
「女将さ~ん!!」
廊下から誰かが女将さんを呼んでいる。女将さんは行ってしまったが、誰でしょうか?焼きもろこしを食べたせいで、二人とも朝食は手に付かず、仕方なくタッパーに詰めることにした。

今日もお嬢と一緒にちとせのところへ向かう。ふと、お嬢が聞きたがっていた悪夢の話を思い出した。しばらく心の中で整理した後、俺はお嬢に語り始めた。
「ふたつの丸と、ひとつの半月……たぶん、人の顔だと思う。それが、虚空に浮かんでいるんだ。顔だけが、いくつもいくつも。いくつもの視線が、おれに向けられているんだ。」
その視線には感情がこもっていて、なにかを望んでいるのだというが、俺にはそれが何なのか分からないのでした。

水夏 ~SUIKA~

ちとせの部屋に入ると華子がいた。華子は、ちとせに色々とプレゼントを買ってきたようです。でも、ちとせが一番欲しがっていたメデスのぬいぐるみは売っていなかったんだとか。まあ、無理でしょうな。最後に出してきたのがお手玉だった。華子も俺もヘタクソだった。それを見かねたお嬢が、お手玉をプレイ。プロ級の腕前だった。俺は調子に乗ってお手玉の数を増やしていく。最終的には買ってきた八つのお手玉全てが空中を回っていた。
「あはは!!」
ちとせが珍しく大笑いした。しかし、急に興奮してしまったためか咳き込んで苦しみ出した。それを見ているお嬢は無表情になっていた。

医者が来て、ここにいても足手まといになるだけなので帰宅する。メデスは俺が無理をしていると指摘。自分が態度に出すと、ちとせが心配するから嫌なんだと言うと
「……いつかは、正面から向き合う事だ。悲しみと不安と。笑うにしろ泣くにしろ覚悟は必要だ」
ぬいぐるみのくせに、いい事言いやがる。

お嬢がお腹が減ったというので、食堂「ボンバイエ」で昼食。ラーメンと野菜炒め定食を注文する。
「さすが食べ盛りだね!二人前も食べるなんて!ようし、サービスで大盛りにしちゃうから」
と、おばさんははりきっています。そうかお嬢は一般ピープルには見えない設定だったな。これまでは、死期の近い人間と主人公(死者と深い関係があるから?でも、さやかには見えなかったな。父親を嫌っていたから?)には見えるというパターンですね。

水夏 ~SUIKA~

夜になって、お嬢を散歩に誘うが、テレビに映るアニメに没頭していた。ということで、今夜は一人で散歩。神社へ行くと伊月がいた。
「ずっと待っていた人が、もうすぐやって来るんです」
と嬉しそうに言っている。想い人なのかと聞くと
「そんないいものじゃ、ありませんよ」
と否定した。浮世離れしていて、話していても妙な距離感を感じる俺。巫女さんだからかなと思っていますが、幽霊なんだから仕方ない。

駅前のベンチには、もうひとりの浮世離れした女「華子」が酔っ払って寝ていた。しかし、俺はそのまま華子を放置して帰宅。確かに、放っておいても無事そうな女だけど、一応この村には強姦未遂の危ない少年とかいるわけだからねえ……。旅館に帰ると、真っ暗なブラウン管に向かって放心状態のお嬢がいた。俺に気付くと、そそくさと布団を敷いて寝てしまった。俺もこのアニメ映画を見たことがあったが、それは最後にヒロインが死ぬというストーリーでした。

7月19日

水夏 ~SUIKA~

今日も悪夢で目が覚める。昨日のアニメの感想をお嬢に聞いてみたが、つまらなかったそうだ。今日もちさとに会いに行く。途中でお嬢が、自分の家があるのにどうして「なると」に泊まっているのかを聞かれ、俺はその経緯を語った。かつてはあの家に住んでいたのだが、産みの母親が死んで、本妻に辛く当たられることを恐れた父親が、俺を施設に入れたのである。こんなことを人に話すのも初めてのことだった。しかし
「でも、チーちゃんはひとりになっちゃったね」
お嬢の言葉が胸に突き刺さった。

突然、目の前に野良犬が現れた。涎を垂らしながらこちらに向かって呻っている。腹が減っているようなので、昨日タッパーに詰めた朝食を持ってきて犬にくれてやった。その様子を見て、お嬢が不用意に近づくので止める。野良犬は満足したのかどこかへ消えていった。

今度は華子がこちらに向かってやって来た。どうやら昨日のこともあったので、ちとせは病院に行っていて家にはいないとのこと。そして来月の二日に手術が行われることも告げられた。ちとせは生まれつき心臓に障害を持っていたが、ある程度の成長を待たないと手術ができなかったのである。

旅館に帰ると、女将さんがお嬢のために服を用意してくれた。しかし
「ん~、いいよぉ、服なんて」
と床に横になって興味のない素振り。そこへ
「女将さ~ん!!」
と謎の人物から呼び出し。これだけもったいぶるんだからキーパーソンなんでしょうかね。

女将さんが出て行った後、お嬢に注意した。その服が誰のものなのか聞かれたが、俺にも分からない。サイズからしても女将さんが着ているものとは思えない。死んだ娘さんの服とか?その辺に敏感なお嬢だからあからさまに嫌がったとか?
「あんまりね、あの人とは仲良くしちゃいけないんだと思う……そしてそれは、ほんとはチーちゃんも同じで……」
と言い出すお嬢に、何でそんなことを言うのか聞くと
「だって、別れが辛くなるから」
やはり、ちとせと女将さんは……

7月20日

水夏 ~SUIKA~

また悪夢です。今まではたまに見ることはあっても、こんなに立て続けに見ることはなかった。そして、それがお嬢と出会ってからだということに気付く。今日はお嬢は食欲がない。そんなお嬢を見て、俺も早々に朝食を切り上げた。ちとせの部屋に行ってみるが、今日は疲れてて一緒に遊ぶことができないようだ。仕方なく旅館へ帰る。帰り道に、メデスに説教されました。
「稲葉、お前は弱虫だ。そして、ちとせは強い。いや、不甲斐ない兄を気遣うがゆえに、強くならざるを得ないと言うべきか」
旅館まであと僅かというところで、またあの野良犬が現れた。お嬢はまたフラっと野良犬に近づいて、頭を撫でている。犬の方もお嬢の手を舐めたりして懐いていますが、俺が近寄ると呻り出します。またお腹が減っているようなので、食堂へ行ってエサをもらってきた。その間に、お嬢はその犬に「テトラ」と名前を付けていました。

旅館に帰ると、朝食を残して心配していた女将さんが、またとうもろこしを焼いてくれた。食欲がないなら夜はそうめんにしますかと聞かれたお嬢だが
「ん~……、ごめん。今日はちょっと、無理」
だそうだ。食べたくないわけじゃないが、今日はとにかく無理なんだと。俺は、女将さんに娘さんがいるのか聞いてみたが、いないそうです。だから、お嬢のことが可愛いくて放っておけないんだとか。

夕方、俺はお嬢と一緒にちとせから借りた漫画を読んでいた。そこへ、女将さんがやって来て
「ご実家から、お電話が」
と神妙な面持ちで伝えてきた。ということで、今回はお嬢を置いて実家へと向かうことになった。お嬢の食欲がなかった理由はこれですか。

一瞬ちとせかとも思ったが、そういや父親の方もやばかったか。ちとせの部屋で三兄弟は黙ったまま、その瞬間を待っていた。
「親父が死んだら……悲しいか?」
不意にそんなことを問いかける俺だったが、二人ともこちらにチラッと一瞥を向けただけで無言のままだった。それは、自分の内側から自分に問いかけた言葉だった。明け方近くになり、看護婦さんが部屋に呼びに来た。そして父親はひっそりと息を引き取った。リリンーーと風鈴が涼しげに朝の到来を告げた。

7月21日

水夏 ~SUIKA~

明日は父親のお通夜。一度旅館に帰って仮眠を取ってから準備を手伝うことになった。帰り道に父親のことを思い涙した、俺はそんな自分に安堵した。旅館で、女将さんから夕べからお嬢の姿が見えないことを知らされた。とりあえず一眠りして目覚めましたが、今日は悪夢を見ることはなかった。お嬢がいなかったからでしょう。実家でお通夜と告別式の準備を手伝いつつも、お嬢のことが心配で気が気ではなかった。

解放されて旅館に戻ったが、部屋にはやはりお嬢の姿はなかった。俺は、お嬢を探しに出かけた、散々歩き回ってようやくお嬢を見つけた。そこは、俺とお嬢が出会った神社の軒下でした。お嬢がそれまでねぐらにしていた場所。やけに暗い表情のお嬢に、どうしたのかと尋ねると
「……あなたは、どうして暗い顔をしていないの?」
とカウンターを食らう。父親が死んだのに呑気な顔をしている俺に不信感を覚えているようです。
「もっと悲しんだらどうなの?苦しんだらどうなの?……泣いたらどうなの?そうしてくれて、ボクは全然いいよ。ボクをーー」
お嬢はそこで言いかけた言葉を止めた。その続き聞き出そうとしたら
「何でも無いったら!」
と怒鳴りつけられてしまいました。何があった?連れて帰ろうとする俺を拒絶し、さっきの質問をまた投げかける。俺は、悲しいし、苦しいが、涙は出ない。理由は分からないと答えた。しかし、それは嘘だった。俺には、特別悲しいという感情がなかったのだ。それを聞いたお嬢は
「帰ろう」
と言って、そそくさと歩き出す。そして、俺に一言お礼を言いました。

7月22日

水夏 ~SUIKA~

悪夢にうなされて起きるが、そんな俺をうちわで扇ぐお嬢といういつもの光景に安堵する。お嬢が帰ってきて嬉しそうな女将さんも、朝から仕事を放って俺達の部屋に来ていた。お腹をすかせているだろうと大量の御飯を用意してくれた女将さんですが、お嬢もその気持ちに応えようと、無理してお腹に詰め込んだようです。

今日はお通夜ということで、お嬢を置いて出かける。出がけに、勝手にどこかへ行くなとお嬢をたしなめるが
「ボクだって、行きたくて行ってる訳じゃ無いんだよ……」
と言っています。俺にはその意味が分からなかった。とりあえず、家の前まで付いてくると言うので一緒に実家へ向かうと、途中で野良犬のテトラに遭遇。相変わらずお嬢にだけ懐いている。お腹がすいているからと、女将さんに朝飯の残りをもらいに行く。お嬢は動物が好きみたいだが
「動物は、分からないから……色んな事が」
と、その理由はやけに哲学的だった。

水夏 ~SUIKA~

お通夜が一通りすんで、ちとせの部屋で一服ついた時は、すでに夜の九時を回っていた。
「ちとせ、親父が死んで悲しいか?」
と聞いてみる。ちとせは驚いたが
「決まってるよ、そんなの……。でも、泣いたりなんかしないけどね」
と答えた。俺は自分だけがやっぱり変なんだと再確認するのでした。

その後華子が俺を呼びに来て、三人で喋っていたところに、お嬢がフラリとやって来た。手にはラーメンの丼を持っている。どうやら俺のために作ってきたようです。しかし、旅館からここまでは相当な距離があるため、ラーメンはすっかり伸びてしまっていた。
「あのね、お嬢ちゃん。ラーメンってのはさ、伸びーー」
俺は華子の言葉を遮って、ありがたくそのラーメンを頂戴することにした。何か言いたげな華子と、少し拗ねているちとせ。二人は目配せして笑っていた。ちとせがラーメンを物欲しげに見ていたが、体に障るといけないので、あげなかった。お嬢に「美味しかった」と言ったら凄く喜んでくれて、そんな笑顔を見て幸せを感じるのでした。

7月23日

水夏 ~SUIKA~

告別式が終わり、旅館へと帰る。この後、施設へ戻るのか、この村で暮らすのか、俺には選択が迫られていた。雨の中旅館に向かって歩いていると、お嬢が傘も差さずに立っていました。微動だにせず地面を見つめていたが、そこにはテトラの死体があった。交通事故にあったらしい。
「悲しくなんか……無いんだよ」
お嬢はニッと微笑んでそう言った。
「ただ……やっぱりって思っただけ」
そう言うと、お嬢の全身から力が抜けて意識を失ってしまいました。

水夏 ~SUIKA~

女将さんと医者に診てもらおうと相談していたら、お嫦が突然目を覚まし、あまりにも切実に拒絶するので、医者は呼ばなかった。恐らく医者にはお嬢が見えないでしょうから。徹夜で看病するという俺に、メデスはそんなことしてもお嬢の回復には関係ないと現実的なことを言う。それでも俺がそうすると言うと
「面白いものだな、人間とは。その面白さも高じれば、ぬいぐるみにも話しかける」
元はただのぬいぐるみだったというメデス。そして、こうなった経緯について語り始めた。

話が交差してて、ちょっと分かりづらかったが、まとめるとこういう感じ。ある病弱で寝たきりの少女の姉が、妹のためにメデスを作った。姉は不器用だった(だから不細工)。しかし、その姉はいなくなってしまった(死んだ?)。妹は鎌を作ってメデスに持たせた。もし、死神が来ても、この女の子は我輩の獲物だと言って追い払って欲しいという願いを込めて。しかし、もう手遅れで、メデスがその役割を演じることはなかった。そして、死神とはあの少女がイメージしているようなものでもなかった。(つまりはお嬢?)そんな話を聞きながら、俺はちとせの顔をを思い浮かべる。メデスが妙にちとせに肩入れしていたのはそういう訳か。メデスは「もう寝る」と言って寝てしまった。お嬢とメデスがどうやって出逢ったのか気になったが、メデスの返事はもうなかった。

7月24日

水夏 ~SUIKA~

悪夢で目が覚める。お嬢の体を案じて、今日は女将さんが朝食にジュンサイや果物を用意してくれた。お嬢も喜んで食べている。女将さんとお嬢が本当の親子に見えます。お嬢は、今日は葬儀の後だからいろいろあるだろうと、気を遣ってお留守番するという。何でそんなことが分かるのか不思議がる俺。昨日メデスから生い立ちについて聞かされたことを話し、お嬢とメデスがどうやって知り合ったのかを聞いてみた。
「……捨ててあったんだよ、ゴミ捨て場に」
だそうだが嘘っぽい。ここにきて、俺はお嬢が何者なのか疑問を抱き始めていた。

遺産のことなど、葬儀の後始末を終え、ちとせの部屋で映画を見る三兄弟。ちとせは幸せそうに眠ってしまった。華子が話があるからと、食堂で一緒に飯を食べることになった。華子の話とは、今後俺がどうするつもりなのかってことだった。施設に戻るのか、この村に残るのか。俺はまだその答えを決めかねていた。華子的には、ちとせのためにも稲葉家に居て欲しいとのことだった。

食堂を出た後、引越しのための買い物があるのでつき合ってくれというので、つき合う。と、そこへ華子の知り合いだという女性が現れた。第三章のヒロインである透子だった。やけに嬉しそうに買い物をしていた。7月24日に何やってたのか振り返ってみたが、全てが解決(?)した後みたいですね。せっかくの旧友との再会だというのに、買い物の途中だからとさっさと行ってしまいました。やはり、彼女には良和しか見えてないんですね。

水夏 ~SUIKA~

浮かない顔の華子姉さんは、海岸沿いの草原に俺を連れて行った。
「お前ってさ……」
と言って言い淀む華子を
「もしかして、妊娠でもしたか?」
とからかって蹴りを食らう
「お前の方は、女の子を妊娠させたことがあるのか?」
と聞いてくる華子だが、その顔は真剣そのもの。もちろん、俺は立派なチェリーボーイでした。誰かを本気で愛したことがあるかと問われるが、それもまだ無い。「そう」と言って空を見上げる華子。そんな華子に初めて女を意識してしまう俺でした。
「人間って……愛があれば、何でも出来ちゃうものなのかね……?何でも……何もかもを犠牲にして……」
どうやら、さっきの透子のことを心配している様子です。事情を全て知っているのでしょう。さすがに良和に惚れているってことはないか。帰り際に、華子が俺にお嬢のことが好きなのか聞いてきたが、表情で全てを見透かされてしまったようです。

水夏 ~SUIKA~

今日の夕食は以前約束していた素麺だった。箸の使い方がなっていないお嬢に優しく教えてあげる女将さん。何とも微笑ましい光景だった。と、お嬢が持っていた小鉢を落としてしまい割れてしまった。慌ててそれを拾おうとして指を切ってしまったようだ。女将さんは急いで救急箱を取りに行った。お嬢は異様に落ち込んでいた。急に力が抜けてしまったのだという。女将さんが戻ってきたが、絆創膏が一枚しかなかったので、明日買いに行くと言っていた。お嬢は女将さんのことを、無表情でじっと見つめていた。

遂に来ましたか・・・

7月25日

水夏 ~SUIKA~

今日はいつもの悪夢を見なかった。ということはお嬢がいないということ。やけに廊下が騒がしかった。廊下を覗いてみると、仲居さんが廊下を走っているという見慣れぬ光景が目に映る。ただ事ではない雰囲気だ。仲居さんに聞いてみると、とても慌てた口調で、女将さんが交通事故に遭ったことを聞かされた。やっぱり、あれは女将さんだったか。で、お嬢がいたので近づこうとして……

俺は急いで搬送先の常盤総合病院に向かった。女将さんは集中治療室に運ばれているという。未明になって、女将さんは息を引き取りました……

7月26日

水夏 ~SUIKA~

今日はまたあの悪夢が。ということはお嬢がいるということ。一仕事終えて帰ってきたようです。目覚めると、すでに夕方になっていた。そして、その傍らではお嬢が苦しそうに眠っていた。熱にうなされ、汗もびっしょりかいている。メデスに聞いても「知らん」と言われる。そういや、以前にメデスに内野だの外野だのと意味不明なことを言われたことを思い出し、聞いてみるが
「お主に、深く関わりのある事……」
とだけしか言わない。以前お嬢にどこかで会ったことがないか?と聞かれたことを思い出し、それも聞いてみるが、これも「知らん」と言われ
「辛い事、嫌な事は、えてして忘れやすいものだ。特に、お主のような弱い人間はな……」
と痛いところを突かれてしまった。

お嬢が目を覚ました。昨日どこへ行っていたのか聞いてみるが、俺の質問はスルーしてお嬢は謝るだけだった。メデスは、お嬢に謝る必要はないと庇い
「言ってしまったらどうなのです?」
と提案した。メデスにはお嬢がそうしたがっていることが分かっていた。なにやら規約違反になるらしいけど。お嬢が拒むので、メデスが話すと言い出した。メデスの言葉はテレパシー的なものなので、口を塞ぐことはできない。これもお嬢の苦しみを和らげてあげたいというメデスの心意気だった。お嬢は自ら打ち明けることを決心した。

俺の父親と女将さんが亡くなった時のことを話し始めたお嬢
「ボクね、その時ね……魂をね、運んでいたんだよ……」
俺は唖然とした
「ボクはね……死神なんだよ」

水夏 ~SUIKA~

夕食に全く手を付けようとしないお嬢。この目の前の少女が死神で、彼女が父と女将さんの命を奪った。そう考えてしまう俺に、死神とは人間が理解しているようなものではないとメデスが忠告する。実際の死神というのは、魂を刈り取る鎌などは持っていない単なる魂の運び人であり、それ以上でもそれ以下でもないという。
「ボクはね……死に近い人にしか見えないから」
それが、お嬢が自分が死神であることを隠す理由だった。死に近い人とは、これから死んでしまう人、自分の愛しい人が死んでしまう人だという。俺は、お嬢の姿が見えていた人物を整理した。親父、女将さん、華子、ちとせ、おれーー
「ちとせなんだろ!?ちとせが死ぬんだろ!?やめてくれ!なあ、頼む、やめてくれよっ!まだ!おれはまだ、全然あいつと遊んでやってないんだ!たくさん約束があって何一つ叶えてやってないんだよッ!だから……」
俺は床に頭を擦り付けて頼み込むが、メデスの言ったように、実際の死神は鎌など持っていないのだった。
「やっぱり……言わない方が良かったかな?嫌だよね、ボクの事。嫌になったよね?」
そう聞いてくるお嬢だったが
「そんな事、無い」
俺はそれをきっぱりと否定した。ちなみにここで何も言わないとバッドエンド確定です。頭は混乱していても、その中心にある気持ちだけははっきりしていた。お嬢はしつこいくらい何度もそれを確認してきた。お嬢に満開の笑みが戻り、お腹の虫が鳴くのであった。

7月27日

水夏 ~SUIKA~

今日も悪夢でお目覚め。お嬢と二人で朝食をとる。女将さんがいなくなったというのに、お嬢は妙に明るい。お嬢は、ずっと誰とも繋がりを持たず、親しくなった人は死んでしまうか、愛する人を失って悲嘆に暮れてしまう。
「死神でさえなければ……」
そう思った俺は、食後に以前女将さんが持ってきてくれた服を着せてみることにした。いつもの黒い衣装では死神を連想してしまう。俺は気を遣って部屋を出ようとするが、お嬢は見ててくれないと嫌だという。相変わらずの無頓着さ。お嬢が浴衣の帯を解き始めたのでその手を慌てて掴む。さすがに、良くないと思うのだが、体は正直だった。

お嬢が浴衣をはだけたところで突然倒れこんでしまった。突然体の力が抜けたのだという。と、そこに女将さんのお悔やみに来ていた華子が入ってきた。浴衣のはだけた少女が倒れこんでいる情景に、すかさず蹴りを浴びせて110番通報をする華子。冗談ではなく本当にかけてますw。俺は慌てて華子の携帯を奪って電話を切った。その後、訳を話してどうにか納得してもらいました。それでもお嬢は、俺がいないと着替えないと言うので、二人で見守ることとなった。

惜しげもなく裸体をさらすお嬢が最初に着替えたのは黄色いワンピース。まあ、最初は普通だったが、その後は制服にメイド服……。女将さん、こんな服持ってたのか?熟女のメイド服っていいかも。そういえば、第二章でメイド服を千夏にあげると、第四章でお嬢のメイド服姿が見れるって書いてあったけど。あの時千夏だと思ってメイド服を渡したのは華子だったのか?それとも二重人格とか?

お嬢に、どうしてこの村に来たのか聞いてみたら、神様に、この村に忘れ物があるから探して来いと言われたらしい。この後、三人でちとせの部屋に行ってみたが、病院に行っていていなかった。華子と別れた後、お嬢と遊ぶことにした。お嬢の希望を聞いてみたら泳ぎたいと言うので、商店街で水着を買って海へと出かけた。

水夏 ~SUIKA~

第三章で出てきた海岸でした。人が多く、誰もお嬢が見えないので、ぶつかってしまう。そこで、この海岸に穴場があることを思い出し、海岸線をひたすら歩く。やはり、そこには誰もいなかった。しかし、地元でもない遠い村の人間が二人もこの穴場を知ってるって凄くね?俺はお嬢に紙袋を渡した。商店街で買った水着である。当然お嬢が見えないのだから、さぞや怪しまれたことでしょう。そんな店員に選んでもらったものは、スク水でした。そういう趣味と勘違いされちゃったのでしょうか。ともかく泳ぐことになったのだが、お嬢は泳げないみたいなので、バタ足から教えることに。結構上達して一人で泳ぎに行くお嬢だが、浅瀬で溺れてました。

村に帰るともう夜になっていた。帰り道、お嬢が手を繋いできた。海でも手を繋いでいたので、それを真似すれば楽しかった時間が長引くとか言って。
「ほう~」
またしてもグッドタイミングで華子が登場。手を繋いで歩いている二人を見てニヤニヤ。俺は手を離したかったが、鈍感なお嬢が強く握っていて離してくれない。華子は帽子を持っていた。拾ったんだそうな。第二章でさやかが飛ばしたあの帽子ですな。俺はその帽子に見覚えがあった。七夕の日に草原で見かけた女の子が被っていたものだった。交番に届けるつもりだった華子だったが、そいういうことならばと、俺に渡して消えてしまった。

その女の子の素性など全く知らなかったが、お嬢が知っているから自分が届けると言ってきたので頼むことにした。この後、さやかの父親に届けるわけですね。その後、お嬢が力が入らなくなったと言って道端で倒れこんでしまったので、おんぶして宿へと戻った。

7月28日

水夏 ~SUIKA~

悪夢で目覚める。お嬢はまだ眠ったまま。朝食を終えるとお嬢が目を覚ました。ありがとうと感謝するお嬢に、大した事じゃないと謙遜するが
「嬉しいから。夜中とかに、ふっと目が覚めて、あなたが居るのが分かると、すごく安心するから。だから、ありがとね……」
自分の看病とお嬢の回復は関係ないから礼など要らないと言うが
「……いらなくてもあげるもん。ボク、感謝してるんだから。だから、次に倒れた時、看病してくれなかったら……怒るよ」
と返すお嬢。お嬢とちとせの姿が重なる。

お嬢が眠った後、メデスのお説教タイムに。
「お前がしなくてはいけないのは、死後の世界を気にすることではない。今、お嬢やちとせをどうするかだ」
俺はちゃんと考えていると言ったが
「お前はいつまで考えているつもりだ?考えても駄目なら、動くしかあるまい」
と。メデス師匠、男前すぎです。ふん切りを付けてくれたメデスに、感謝の言葉を言い出しかけた俺だったが、その言葉は全てが終わってからだと思って止めた。

ひとまずはお嬢の元にいることにした。お嬢のリクエストで素麺を作ってあげた。体に力が入らなくて上手く素麺が掴めないお嬢。自分でやると頑固に何度も繰り返していた。見てられなくなったので、お嬢の箸を強引に奪った。
「つまんないな……」
と呟くお嬢に、二人が出逢った頃にお嬢が言っていた「ひとりでもつまらないことでも、ふたりなら楽しくなる」という言葉を言って聞かせる。お嬢の顔に笑みが戻った。

お嬢を寝かせた後、今度はちとせの元へと向かった。ちとせの部屋の前に行くと、中から嗚咽のようなものが聞こえてきた。ノックすると、いつもより長い間の後、返事が聞こえた。そこには、いつもの笑顔のちとせがいたが、赤く腫らした瞳を見ないように俺は視線を外した。そして、ベッドに腰をかけながら
「夜更かしは、良くないぞ」
と注意した。意味を理解したちとせは
「うん……そうだね……」
といって、額を俺の肩の上に置く。俺はちとせの肩をそっと抱いてやった。
お嬢に貸した漫画のことを思い出したちとせが、漫画の感想が聞きたいというので、俺はお嬢に言っておくと約束するが
「絶対頼んでよ。お願いだよ。なるべく早くって」
と力強く俺の腕を掴んで念を押した。この必死さ、何だかやばそうです。手術のことを話すと、ポジティブシンキングで、手術が終わったら四人でたくさん遊ぼうと、曇りのない笑顔を見せるちとせ。目を瞑って四人で楽しく遊ぶ光景を想像しようとしましたが、どうしてもそのイメージが浮かんできませんでした。

水夏 ~SUIKA~

旅館に戻る。お嬢がちとせのことを話し出した。
「どうして、チーちゃんは看病してあげないの?」
と素朴な疑問。しかし、俺には耳の痛い質問。自分がいても病気が良くなるわけでもないから意味はないと答えるが
「だって、あなたが居たら、チーちゃん喜ぶよ。知らなかったの?チーちゃんが喜ぶんだもん。大事な大事な、意味」
それを聞いて、ずっとそばにいてやらなかった自分への悔恨の念にかられた俺は、頭を冷やしに外へと出た。考え事をしながら駅前まで来たところで女性の悲鳴が聞こえてきた。

やはりボンバイエで野球を見ていた華子だった。贔屓のチームが逆転負けしてヤケ酒する華子。俺も付き合わされる羽目に。酔いつぶれた華子を抱えて実家まで送ることになった。ちとせの部屋に連れて行けと言われ、何でかと聞いてみると
「元気……づける」
という
「お前は、ほんとに阿呆だ……彼女の……不安にも気が付かなくて……」
そう言ったっきり華子は黙りこくってしまった。俺は華子玄関に置いてちとせの部屋へと向かった。

水夏 ~SUIKA~

ちとせの横に腰をかけ、実家で一緒に暮らすことを告げた。そして、今まで側にいてやれなかったこと、そして笑顔ばかりを押し付けてしまったことを謝った。手術が不安かと聞くと、そんなことはないと強がるちとせ。そんなちとせの肩を抱き寄せ
「ごめんな。ほんとは、おれがこんな事言っちゃ、いけないのかもしれないけれど……おれは、不安だよ」
と激白。そして、その不安から自分が逃げていたことを。
「ちとせが不安じゃ無いって言うなら、おれが代わりに不安になる。代わりに悲しんで、代わりに怖がるんだ。どうだ?」
ちとせはクスっと笑って
「……お兄ちゃん、とってもヘンな事言ってるよ。側にいてくれるなら、代わりじゃなくて、一緒に、でしょ?一緒に笑うの」
そして、嬉しいのに涙が出てしまう自分もヘンだと言って、俺の胸で泣いた。俺はその細い体を抱きしめてやる。妹の泣き顔を見るのは初めてだった。やっと本当のお兄ちゃんになれた気がした。そして、約束通り一緒に泣いてやった。

水夏 ~SUIKA~

その帰り道、後ろから華子に声をかけられた。雰囲気からして千夏の方みたいです。いつもと違う雰囲気に
「酔うとそうなるの?」
と聞いてみたが
「嬉しいとこうなるの」
と答える華子(千夏)。この日は第二章が完結した日でしたね。ちとせが喜んでいたことも知っていて
「君の顔を見れば分かるよ……。お兄ちゃんの顔してるもん」
とか、華子に言われたら鳥肌モンの台詞を華子(千夏)に言われてしまった。お嬢の探し物は見つかったのか聞かれ、よく分からないと答えると
「本当は、もう見つけてるんじゃないかな……」
と呟いてました。

旅館に帰ると、華子から預かっていた帽子が消えていた。お嬢に聞いたら、あの身体で返しに行ったのだという。どうしても今日返したかったらしい。俺にもその意味は理解できた。お嬢が寝た後、メデスを外へと連れ出した。何であんな状態でも仕事をしなければならないのかと批判する。そんなことを命令する神様なら殺してやるとまで。メデスは死神が生まれる理由を語り出した。死神になれるのは、皮肉にも、やさしい魂だけ。何らかの事情で彼岸に運ばれなかった魂が、彷徨って彷徨って行き着いた先が死神なんだという。魂が運ばれなかった辛さを身にしみて分かっているからこそ、必死になって魂を運ぶことになる。お嬢はもう半世紀もこんな生活を続けているのだという。お嬢の孤独さを想像しても理解することはできない。
「ありがとう」
メデスが俺に礼を言った。そこにお嬢がやって来た。起きたら俺もメデスもいなくなってて、捨てられたのだと思ったようで怒っていた。メデスの話を聞いた後だけに、お嬢の不安な気持ちが痛く伝わった。俺は謝って彼女を抱きしめました。

7月29日

水夏 ~SUIKA~

俺は悪夢の正体を掴みかけていた。目覚めるとお嬢が元気に挨拶してきた。今日は俺がうなされていなかったので喜んでいる。元気一杯の様子で朝食もペロリと平らげたが、俺はお嬢の表情にどことなく翳りを感じるのだった。体調も良いようなのでまた遊びに行くことにした。俺は、今までまともに誰かと遊んだことなどないであろうお嬢を遊ばせてやりたかった。とはいえ、あまり無理もさせられないので草原へ行くことに。ちとせに頼まれていたので、そこで一緒にちとせから借りた漫画を読むことにする。俺は、いつの間にか漫画ではなく、漫画の内容に合わせて笑ったり、怒ったり、泣いたりするお嬢の表情に見入っていた。
「マンガってさ……終わらなければいいのにね」
それまで漫画に夢中だったお嬢が、その手を止めて突然そう言って、再び漫画に没頭し始める。

ちとせの部屋で、ちとせとお嬢が漫画談義に花を咲かせている。傍観していた俺に、突然ちとせが感想を聞いてきた。お嬢の顔ばかり見ていた俺には内容など分かっていない。その後も熱心に語り合う二人を見て、試しにその漫画を読んでみることにした。これが面白かった。しばらく漫画に読み耽っていたが、お嬢に取り上げられてしまった。結構長居してしまったようだ。惜しみつつも今日は帰ることになった。ちとせに明日は来なくてもいいと言われる。明日から病院で手術の準備をしなければならないそうだ。

その帰り、お嬢がメデスを持っていないことに気付く。どうやら、メデスがちとせのそばに残ると自分から言い出だしたようです。
「ボク、何だかね、アルキメデスとは、もう二度と会えないような気がするんだ」
とか不吉なことを言うお嬢。一方、ちとせの部屋では
「願わくば、我が輩の果たせなかった使命を成就したいものじゃ」
とメデスが決意を語っている。果たせなかった使命。死神を追い払って死なせない、というあの約束ではないようだが、何を考えている?アルキメデスよ。

水夏 ~SUIKA~

今日はいつもの悪夢を見なかった。見たのは過去の情景。俺はカカシに祈っていた。母の回復を、義母が優しくしてくれることを、父が家に帰ることを。悪夢に出てきた無数の顔はカカシということか。そこにお嬢が現れた。やはり二人は過去に会っていたようです。お嬢が見えるということは、恐らく母親が死ぬ直前の話なんでしょう。その日から二人は友達になった。今日は何して遊ぼうかと聞かれてこう答えた。
「セミ取りにでも行こうか」

7月30日

水夏 ~SUIKA~

お嬢とセミ取りをしていたので、さっきの続きかと思ったら現代の話みたいです。お嬢からの提案だったらしい。汗だくで走り回るお嬢が不安で仕方なかったが、やはりダウンしてしまいました。何でこんなに体が弱いのか分からないというお嬢。汗臭いからお風呂に入りたいと言い出したが、体に障るから我慢しろとなだめる。臭いと俺に嫌われるのではと心配しているので、真面目に答える。ここでボケるとバッドエンド確定です。
「汗くさいのなんて嫌うもんか。だっておれは、お嬢が……」
ここまで言って止めた。お嬢の年齢は不詳ですが、小学生、せいぜい中学生くらいの見た目。これ以上言うと犯罪者になる。でも、元がエロゲってことは、ひょっとしてこの娘とそういう関係になるのか?

お嬢は、きっと自分は俺と以前に会ったことがあるのだと言う。この村に来て俺の顔を見た時に思い出したが、いつのことなのか、どんな関係だったのかまでは思い出せないのだという。
「辛い事、嫌な事は、えてして忘れやすいものだ」
ふと、メデスの言葉を思い出した。

水夏 ~SUIKA~

「今日は、何かぶすぅっとしてない?」
夢です。俺が不機嫌だったのは、夏祭りが中止になったから。俺はここで、この夢に違和感を覚える。夏祭りが中止になったことなど一度もなかったからだ。母の回復をカカシに必死に祈る俺の前にお嬢が現れた。祈りの邪魔だからとお嬢をどかそうとするが
「……もう……無駄……祈ったってね……無駄なんだ……」
お嬢はそう冷たく言い放つ。そんなお嬢を怒鳴りつけた。
「だってもう……連れて行っちゃったから……ボクが、連れて行っちゃったから……もう、この世には居ないんだよ」
俺は、目の前に死神がいたのに、何もできなかった自分が許せなかった。そして、その怒りを少女にぶつけた。
「この死神めっ!お前のせいで母さんはっ!!」
俺は一目散に逃げ去った。少女が泣いているのを見ていられなかったから。大好きな友達を傷つけてしまったから。そして、必死で走っていた俺の目に眩しいヘッドライトが飛び込んできた気がした……

えっ?実は死んでましたっていう第一章みたいな展開?

7月31日

水夏 ~SUIKA~

お嬢は昼過ぎになってやっと目が覚めた。熱もあり食欲がないので昼飯は食べなかった。お嬢に忘れ物について聞いてみるが、大切なものだから見つけないといけないのだろうけど、自分がそれを本当に見つけたいと思っているのかも分からないという。お嬢が寝ている間に、俺はちとせの病院に向かった。ちとせが抱いていたアルキメデスを持ち出してロビーで、お嬢の忘れ物のことについて聞くためだった。
「人との接触をーー友情や愛情を受けて育たなかった子は、やがて限界を迎える」
とかメデスは意味不明なことを言い出し
「探し物はもうすぐ見つかるだろう」
と一方的に言って寝てしまった。ただ、メデスがそう断言する以上、もうすぐ何かが起きるのだと、俺は思考を固めていた。

しばらく経って、目の前に華子が立っていることに気付いた。どうやら千夏の方みたいです。さしもの俺も話していて違和感を感じ
「おまえは誰だ?」
と疑問をぶつけた。慌てて華子の振りをしていたが、もうごまかせなかった。
「私の名前は、千夏。千の夏。いつまでも同じ夏をめぐる者です」
と得意の自己紹介パフォ。何しに来たのか尋ねると
「大切なモノにさよならを告げに」
と答えた。彼女もある意味では死神なのだという。死神であって死神でない。俺は混乱したが、ちとせの魂はやるものかと、抵抗の意思を示す。しかし、彼女が用があったのはちとせではなかったようです。第一章で入院していた小夜?

千夏は、ちとせを救う方法があることを教えてくれた。しかし、それはお嬢を犠牲(身代わり?)にすることだった。千夏が手を差し出した。この手を取れば、ちとせは救われるがお嬢は消えてしまう。俺は千夏の手首を掴み
「どうすれば、お嬢を助けられるんだ?」
と聞いていた。最後のチャンスかもしれないと言う千夏に
「だけど。おれは馬鹿だけど、卑怯者にはなりたくない。誰かが死んで得られるチャンスが、最良のチャンスじゃないだろう」
と決意を語る。お嬢を救うには、お嬢の中に千夏が還らないといけないという。千夏はお嬢の一部。つまりは、お嬢の忘れ物とは千夏のことだった。しかし、今はまだダメなのだという。
「時がくれば、自ずと答えは出るでしょう」
と言う千夏。今はまだ受け入れてくれないだろうという。千夏を捨てた時の心が、今もお嬢を苦しめていると。
「だから……あの子の苦しみを取り除いてあげて……」
そういい残して千夏は消えた。

水夏 ~SUIKA~

ーー過去回想ーー

夏祭りに行くと約束していた二人だったが、はぐれてしまった。残念がるお嬢だったが、俺はお嬢のために夏祭りで買っておいたものを弁当箱に詰めて持ってきていた。焼きもろこしに舌鼓を打つお嬢。お嬢が焼きもろこし好きなのはこのせいだったのですね。この後は例の交通事故の直後に場面が転換。朦朧とする意識の中で、お嬢とメデスの会話が聞こえてくる。
「……大丈夫、ボクの命を半分君に預けるから。大切なモノだから……いつか思い出して……そしたらまた会おうね。今度こそ夏祭り行こうね」

8月1日

水夏 ~SUIKA~

お嬢はまだ床に臥せっている。今までと違い中々回復しない。俺が病院に行っている間に一度目を覚まし、俺がいなかったので、どこかへ行ってしまったと不安に思っていたらしい。
「自分の好きな人が苦しんでいるのに、側に居てやれないなんて、そっちの方が余程辛い」
と激白。
「好きな人が、居るの?……誰?」
と聞かれ
「お嬢だよ」
と答える。ポカーンとしているお嬢に
「……おれとしては、何かリアクションが欲しいな」
と言うと、しばらく考えた末に
「チューして」
と言ってきた。思ってもいなかったリアクションに焦る。どうやら、ちとせから借りた漫画で、好きだったらチューをするということを学んだらしい。これもお嬢のためと覚悟を決めて(言い訳を作って)、俺はチューをしてやった。お嬢の唇は温かく、そして柔らかかった。
「じゃね、次はね……」
まだ続きがあるらしい。チューの次となると……。いけない妄想が頭をよぎる。
「次はね、ぎゅっと抱きしめて、”好きだ”って言って」
とリクエスト。これも漫画の受け売りだった。漫画の真似ではなく、自分自身の感情をぶつけてくれと言う俺に、嬉しいけど悲しくもあると言って目じりに涙を浮かべるお嬢。何で悲しいのかは分からないらしい。お嬢も俺のことを好きだけど、それをどう表せばいいのかも分からないと。

夕食に素麺を作り、二人羽織しながら食べさせたりと頑張ったが、ほとんど口にできなかった。夜中に突然うめき声を上げるお嬢。最期の時が来てしまったのではと思い、必死にお嬢に呼びかけて強く抱きしめたが、お嬢はあっさりと目を覚ました。夢を見ていたのだという。
「たくさんの顔に囲まれて……みんながボクを責めるの」
あの夢のことか。最近は見ていなかったというから、その間、代わりに俺がその悪夢を見ていたということだろう。あれはお嬢の夢だったと。
「みんなが言うの……ボクが笑うのはずるいって。みんなを殺しておいて、あなたやメデスや、チーちゃんと一緒に幸せに遊ぶのがずるいって……」
俺は、メデスから聞いた死神の仕事の意味を持ち出して、お嬢が悪くはないことを強調する。しかし、死神のくせに消えるのを怖がっている自分がずるいのだという。みんなも死ぬのが怖かったはずなのに、自分は何も感じなかったと。
「違う。感じなかったんじゃなくて、ずっと心が痛がってたんだ」
俺はそう否定した。しかし、死神が人と交わったことを後悔するお嬢。
「だって、こんなに辛いんだよ……苦しいんだよ……」
「もういい……」
そう言って、俺はお嬢を抱きしめた。

水夏 ~SUIKA~

ーー過去回想ーー

お嬢が、この間の焼きもろこしのお礼だと言って、金色の懐中時計をプレゼントしてくれた。高価そうなものなので躊躇したが、もらい物だというし、手を引っ込めようとしないのでもらっておいた。中を開けると大小2つの時計盤が並んでいた。小さい方は、お嬢がいつまでこっちに居ないといけないかを示すものだという。いつか居なくなると知って淋しかったが、帰るのはまだまだ先のことのようで安心した。そして、今度二人でお祭する時に、何かあげることを約束した。

別の日。その日の俺は元気がなかった。妹の具合が悪かったからだ。ひとりっ子らしいお嬢は、羨ましがっていた。
「秋がくれば涼しくなるよ。そうなれば、妹さんだって元気になる」
そう言って励ましてくれるお嬢。今度妹に紹介するということで、名前を決めることに。「亜季」という名前にした。何で「あき」なのか聞いてくるお嬢だったが、その理由は恥ずかしくて言えなかった。夏が終わって秋になっても、二人一緒に居られるように。そういう願いを込めた名前だったから。

8月2日

水夏 ~SUIKA~

いよいよ最終日。ちとせの手術の日。ここまで長かった。俺は眠っているお嬢に話しかけていた。そこに華子(本物)が登場。手術の前にちょっとだけちとせに会えるということで迎えにきたようだ。ちとせが死ぬことを知っている俺には、これが最期ということも分かっている。その道中、俺は千夏に会った事を華子に話す。そして華子から聞かされた千夏の秘密。七夕の夜に、華子の大切にしていた懐中時計(ん?俺がお嬢からもらったやつ?)が急に光だし、千夏が華子に体を貸してほしいと言ってきたそうで
「オッケー」
と、華子は二つ返事で承諾したらしい。軽すぎる。で、千夏は華子の体を使って恋のキューピッドみたいなことをしていたと。詳しい事情は知らないようだが。

ちとせとの最期になるかもしれない会話。ちとせは手術の不安も感じさせずに明るく振舞っている。健気ですな。その別れ際、メデスが俺を呼び止めた。そして、二人に実は腹話術が得意なんだと言って、俺はメデスを使って腹話術の真似事をした。
「我が輩は猫である!名はアルキメデス!」
勿論しゃべっているのはメデスです。
「そんな我が輩は、ちとせの事が好きだ。ちとせは強いからな。それにやさしい。思えば、我が輩の最初の主人も、芯の強い人間だった。これもひとつの縁であろうか。ああ、ちなみに、稲葉は好かん。あれは弱虫だからな。しかし、我が輩とちとせを引き合わせてくれた。これには、感謝せねばなるまい。我が輩は、いたずらに生を享けたのでは無い、という事らしいのだからな。思えば、全うできなかった運命に、もう一度立ち合わせてもらったというわけだ。礼を言うぞ、稲葉」
そして、メデスをちとせに返す時に
「お嬢をよろしくな」
とポツリ。

水夏 ~SUIKA~

旅館に戻ると、お嬢はまだ寝ていたが、しばらくして起き上がる。お嬢を病院に行かせまいと思う俺に
「ボクの苦しみを取り除いてくれる……そう、言ったよね?」
そう語りかけてきた。その方法とは
「ボクを……愛して」
前日にチューした時に、お嬢が「好き」ということを表現する方法が分からないと言うので、宏は色々と説明していたのだが、セックスのことを説明してたみたいですw
「ああいう事、ボクとしようよ」
妹が死と戦っている間に幼女とセックスとは、さすが弱い兄貴。元がエロゲだとはいえ、ここでセックスする必要性あるんでしょうか?セックスに持っていく話の流れも、少々強引な感じです。

お嬢は、華子が以前置いていった赤い着物姿で縁側でスイカを頬張っている。あれほど違う服に着替えることに抵抗していたお嬢に心境の変化があったようです。黒い帽子だけは絶対に脱ぎませんが。そして、あれほど嫌がっていた華子に対しても、今は嫌な感じがしないのだとか。お嬢が千夏を受け入れる準備が整ったということか。お嬢曰く、千夏はお嬢の感情と記憶の一部だという。お嬢に欠けている恋愛という感情。俺は、お嬢とセックスできて嬉しかったが、そういう感情のないお嬢は
「嬉しかった……ような気がしたんだ」
と、実感が沸いていない様子です。

水夏 ~SUIKA~

その後眠ってしまい、目覚めたのは夜だった。部屋にはお嬢はおらず、遠くで鈴の音が鳴っている。ちとせの元に向かったらしい。俺は必死にお嬢を追いかけた。病院に着くとお嬢がロビーに立っていた。
「なんで……どうして?」
お嬢はメデスを抱えてそう呟いている。メデスが逝ってしまったようです。自分の命と引き換えにちとせを救ったと。不細工なぬいぐるみだけど、アルキメデス師匠超かっこいいです。
「悲しいんだよ……みんなごめんなさい……こんなに辛かったんだね」
俺は、泣きじゃくるお嬢を抱きしめてキスしてあげた。長い間励まし続けてくれたアルキメデスに、ありがとうと言えなかったことを悔やむお嬢でした。

帰り道、お嬢が俺のことをずっと前から知っていたことを告白。そして、探し物は一つではなく二つだったことを。それが俺だったことを。そう言うお嬢の言葉はどこか物悲しかった。神社に行くと千夏が待っていた。千夏が今まで待っていたのは、すぐに戻ってもお嬢が元の死神に戻るだけだったから。
「もう、終わりにしよう千夏」
どうやら、俺は気付いてしまったようです。あの夏、交通事故に遭った自分が生きているのは、あの時お嬢に命を分けてもらったからだということを。そして、あの日お嬢に酷いことを言ってしまったことを謝った。あの時のことを詫びるために俺は今まで生きていたのかもしれません。最後に、お嬢の本当の名前は漢字ではないことを確認する。千夏も「はい」と答えた。つまりは外人さんということでしょう。最初の方に外国の言葉みたいなの喋っていたし。そして、画面が真っ白に。
「ごめんな……お嬢」

水夏 ~SUIKA~

あの夢の世界にトリップしたようです。カカシに祈りを捧げる少年。その少年は今年のお祭は中止になったと言っている。大人がいないし、食べ物もないからだという。周りに電線が無いことに気付いた俺は、今がいつなのか聞いてみる。昭和20年だった。つまり戦争のために祭が中止になったということか。あの夢は全部俺の過去かと思っていたが、お嬢の記憶がごっちゃになっていたようだ。

その頃お嬢は神社で戦争というものの説明をアルキメデスから受けていた。当時のお嬢は死神の見習いで、これが初仕事。戦争で人手が足りずに借り出されたというわけだ。お嬢が命じられたのは、さっきの少年の母親の魂を運ぶこと。で、その少年と仲良くなってしまったので、メデスから小言を言われる。その少年の名前は稲葉春樹。俺のおじいちゃんだった。春樹はお嬢に焼きもろこしを食べさせる約束をしていたが、とうもろこしは一本しか手に入らず、それを病床の母親に食べさせたいと言っている。俺は春樹を母親の元へと行かせてやった。

神社で春樹を待っているお嬢。もうここに居られる時間はない。死神が嫌になるお嬢に、アルキメデスが助言する。
「万物の理が死で終わるのならば、死神が解放される時は生の瞬間」
生の瞬間=人を愛すること。しかし、お嬢は春樹のことが好きだけど死神のままだし、痛いだけだった。そして、好きになればなるほど、別れが辛くなるだけだと、懐中時計に想いを残していこうと決意する。

水夏 ~SUIKA~

そして、現代でも同じ想いでいるお嬢の目の前に、俺は現れた。
「いやだっ……せっかく忘れようとしたのにーー」
と泣いて訴えるお嬢に
「おれのことを忘れないで欲しい」
と語りかける。消えかけようとする俺に
「おいていかれるのがどんなに辛いか分かってるの!どうして、みんなボクをおいてくの!」
と言ってお嬢がしがみついた。
「ごめんな」
薄れていく手でお嬢の頭を撫でる。
「だけど、その悲しさとか、痛さから逃げないでくれ。悲しさとか痛さは、楽しさの裏返しだから。それを知っていれば、みんなをもっと好きになれるから」
そして、俺は消えた……

水夏 ~SUIKA~

同じ頃、千夏もアボーンしようとしていた。千夏に語りかけている心の声は華子でしょうか?千夏の中には三つの逝き場のない愛情があった。一章~三章で集めたものでしょう。それは、この二人のために集めたもの、そのために関係の無い人間を巻き込んでしまった。千夏という名前は、かつて春樹がお嬢の名前(亜季)を考えた時に、ノートにたくさん書いた候補の中の一つだったようです。今、その役目は終わろうとしている。千夏もまた俺を愛していたようだ。そして、もう一人の自分に嫉妬していたこともあったことを告白する。千夏も消えた……

スタッフロールが流れエピローグへ

水夏 ~SUIKA~

俺は生きていたようです。神社で華子と会話。今まで長い夢を見ていたんだとか。俺の手の中には金の懐中時計と、「探し物、見つかりますように」と書いてある短冊が。あ~、あの短冊はお嬢が書いたのか。夏の日差しがまぶしくて、それを短冊で遮ると別の文字が透けて見えた。
「また忘れ物をしました。今度の夏、とりに行きます。追伸、浮気したらポカポカだぞ」

一年後の夏……

俺は、華子とちとせと夏祭りに来ている。ちとせはまだメデスを大事にしているようです。と、そこにお嬢が登場。この夏が終わったら、同じ学園に通うことになっている。俺は高等部で、ちとせとお嬢は中等部に。これからは、いろんな人(男)と出会うことになるだろうと思うと不安になる。それを読み取ったお嬢は
「へへ……だいじょうぶだよ!心配しなくていいの。だってボクには、あなたしか映ってないんだから」
と言って、人目もはばからず俺に抱きついた。

終わりです。最後よく分かりません。何で宏は生きているのでしょうか?千夏が集めていた逝き場の無い愛情とやらが何らかの効果を発揮したのでしょうかね。分からないので、グーグルさんで、他の人の見解をいくつか拝見したところ、死神は人間二人分の命があり、お嬢が最後人間になったから宏の命も救われた。みたいなのがあったけど、そんな設定ありましたっけ?確かにお嬢が命を分け与えて宏は生きながらえてはいましたけど、今一つ納得いかないですね。命ってそんな単純な数式で成り立つの?と。神様のご褒美とかでいいんじゃないの?みたいな。

(おしまい)
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